はじめに
FAT FIREって、言葉だけ聞くと「なんか強そう」ってなりますよね。
ただやること自体はシンプルで、“生活費を運用ですべてまかなう”を設計するだけ。
しかし…FATの名にふさわしく、節約ミニマム路線じゃなくて生活の満足度を落とさない前提ですので、必要な資産額もそれなりにデカいです。
この記事では、FAT FIREを目指すなら先に知っておきたいポイントを7つに絞ってまとめてみます。
FAT FIREとは
FIRE(経済的自立して早期リタイア)の中でも、支出を切り詰めずに“太めの生活”を続けるタイプがFAT FIRE。
高収入×高い貯蓄率×運用を前提に、生活水準を落とさず早期リタイアを狙う考え方となります。
達成ハードルはかなり高いという位置づけとなります。
まず結論:必要資産は「年間支出 ÷ 取り崩し率」で決まる
FIRE界隈でよく出てくるのが、いわゆる「4%ルール」。
- 退職時点の資産から初年度に4%取り崩し
- 2年目以降はインフレ分を上乗せして同じ生活水準を維持
この考え方は、Bengenの研究や「Trinity Study」と呼ばれる研究で広く知られるようになった流れ。
ただ、最近は「条件によっては4%より保守的に見た方がいい」って話も増えてきて、Vanguardの整理でもFIREみたいにリタイア期間が長くなりがちな人はリスクが上がる点が指摘されています。
加えて、Morningstar系の発信では“安全な開始取り崩し率”を3.7%程度とする見方も出てる(市場環境を織り込む考え方)。
つまり、雑にまとめるとこんな感じになります。
- 強気:5%(短めの期間ならあり得る)
- 標準:4%
- 慎重:3.5%〜3%
必要資産の早見表(年間支出ベース)
「FAT FIREの資産額」を下の表にまとめました。
まず年間支出を先に決めないと、目標が永遠にフワフワして現実味がないので、年間の
支出を出し、そこから算出して必要資産を逆算していくことになります。
FAT FIREを目指すなら確実に億単位の資産が必要になってきます。
下記の表は、年間支出をベースにした「FAT FIREに必要な資産額の目安」です。
自分の生活費に近い数字を見つけて、感覚を掴んでみてください。
| 年間支出 | 4.0%取り崩し(25倍) | 3.5%取り崩し(約28.6倍) | 3.0%取り崩し(約33.3倍) |
|---|---|---|---|
| 400万円 | 1.0億円 | 1.14億円 | 1.33億円 |
| 600万円 | 1.5億円 | 1.71億円 | 2.0億円 |
| 800万円 | 2.0億円 | 2.29億円 | 2.67億円 |
| 1000万円 | 2.5億円 | 2.86億円 | 3.33億円 |
※あくまで「運用で生活費を出す」考え方の目安。年金や副収入を加味するなら必要額は下がります。
FAT FIREを目指すなら知っておきたいこと7選
1. 取り崩し率は“4%固定”じゃない
4%ルールは便利だけど、魔法の数字じゃありません。
研究ベースの考え方として有名でも、「前提」があります。
- 期間(30年想定が多い)
- 資産配分
- インフレ調整の仕方
- 手数料・税金をどう見るか
Vanguardの資料でも、4%ルールが置いている前提(30年、手数料無視など)をそのまま信じるのは危険になり得る、という整理がされています。
これは現代の社会に合わせて適時調整していかなければ、資産の枯渇を招く結果となりうるということです。
FAT FIREは“生活を太く”する分、失敗した時のダメージも太くなりがちです。
3.5%〜3%寄りで計画を組むくらいの慎重な計画をするのが賢明な判断となるでしょう。
2. 「年間支出」の中身が雑だと、全部ズレる
ここはとても大事です。他のFIREよりFAT FIREの方が雑な計算だと大きくブレます。
- 住居費(ローン/家賃、固定資産税、修繕)
- 車(買い替え、保険、税金、整備)
- 旅行・外食
- 趣味・サブスク
- 医療費・健康保険
- 家族イベント(教育費、仕送りなど)
FATの怖さは“贅沢費がじわっと膨らむ”こと。
年400万のつもりが、気づいたら600万とか普通にありえます。
これは考え方の違いによるものです。
当然出費はどのFIREでもあるものですが、趣味・趣向にもしっかりお金を使うのがFAT FIREの特徴です。
「しっかり人生を楽しみたい!」
「困らないような生活をしたい!」
こういった生活の充実感や生活の質自体を大切にする考え方から支出が膨らむことが多くなります。
間違いなく、資産運用による収入や不動産収入を持っていないと厳しいと言えるでしょう。
しかし、達成さえできれば人生がとても豊かな時間になるのは間違いありません。
3. インフレは“敵”として組み込む
4%ルールの考え方も「翌年以降はインフレ調整で取り崩し額を増やす」が前提となっています。
つまり、今の生活費が年間600万なら、将来も600万で済む想定は甘いということになりますよね。
特にFAT FIREほど「生活の質を維持する」意識が強いので、インフレ影響をモロに受けて支出が増えます。
インフレは敵として見ておき、インフレに強い資産を充分に育てておくことが重要です。
4. 退職直後の暴落(シーケンスリスク)がいちばん怖い
同じ平均利回りでも、
- 退職直後に暴落 → 取り崩しで資産が削れ、回復しにくい
- 退職後しばらく好調 → かなり楽
この市場状況の“順番”がシーケンスリスク。
この考え方は、資産の取り崩しに大きく影響します。
仮に定額取り崩しで退職直後に暴落すると、減った資産からさらに取り崩し額が減ります。
そして運用中の資産の複利パワーが弱まり、資産枯渇のリスクが上がります。
しかし、退職後に市場が好調であれば、複利パワーが増した状態から取り崩しをしても
来年にはそれ以上のリターンが得られるので、資産枯渇のリスクが下がります。
対策は現実的にこれらになります。
- 生活費1〜3年分の現金バッファ
- 債券・現金も混ぜて値動きを抑える
- 相場が悪い年は取り崩しを少し下げる(可変)
Trinity Studyも資産配分と成功率の関係を示していますし、「取り崩しは固定で考えず調整」って方向の話は昔からあります。
「積み立ては定額・取り崩しは定率」
これがシーケンスリスクを抑える基本的な考え方となります。
FAT FIREでは金額が大きい分、シーケンスリスクを考慮して取り崩し計画すると安心です。
5. “収入ゼロ”にしないだけで難易度が激減する
FAT FIREの裏ワザ。
というより、変化を付けて自由度を調整出来るのが強みとなります。
たとえば年間支出600万でも、副収入が年120万(月10万)あるだけで、運用から出す額は480万になる。
- 600万 →(月10万の副収入)→ 480万
- 4%ルールなら必要資産:1.5億 → 1.2億
この「ちょい収入」で一気に現実味が増してきます。
で、ここはもう私の目指しているサイドFIREがこの発想となっています。
FIRE後の収入ゼロが不安な人は、先にサイドFIREを検討するのもアリ。⇩
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6. 税金・社会保険・医療費を“別枠”で見積もる
FAT FIREで地味に刺さるのがここです。
- 取り崩し=利益確定が発生しうる
- 税・保険は制度や所得で変動
- 医療・介護は年齢が上がるほど読みにくい
Vanguardの整理でも、4%ルールの単純化の中に「税や医療費は織り込んでいない」といった点が明示されています。
つまり年間の生活費・贅沢費の他に別枠の予備費を支出に盛り込むことを私個人としては推奨します。
特に医療・介護費はFIRE後に多くなっていきやすく、
人間である以上、高齢になれば病気やケガのリスクも高まるので負担が増える以外の道がほぼない状態となっていきます。
これらは別枠としてしっかり備えておく必要があるでしょう。
7. 「FATの定義」を自分で決めないと、永遠に終わらない
FAT FIREが難しい理由がこれらです。
- 生活水準って上限がなくなりがち
- “もっと良く”が簡単に膨らむ
これらを防ぐために考えておくことがあります。
- 年間支出はいくらか(旅行回数、車、外食頻度まで具体的に決める)
- 住む場所はどこか(都心か郊外か田舎か)
- 何歳で完全リタイアしたいか(セミリタイアでもOKか)
- 運用が不調な年は何を削るか(削れる項目リスト・潤沢な生活防衛資金)
「理想」じゃなくて、
“運用が荒れた年のプランB”
”アクシデントのプランC”
くらいまで含めてFATなのです。
資産があってもプランが無ければただの思考停止の無職となります。(悪口ではないです)
厳しい言い方かもしれませんが、FATを目指すのであればプランはいくつ練ってあっても
いいので、現実的な目線で自分のFATを定義しましょう。
積立シミュレーション(目安)
例として、目標を「1億円」に置くと、毎月の積立はこのくらいとなります。
| 目標 | 期間 | 年3%想定 | 年5%想定 |
|---|---|---|---|
| 1億円 | 20年 | 約30.6万円/月 | 約24.6万円/月 |
| 1億円 | 25年 | 約22.5万円/月 | 約17.1万円/月 |
| 1億円 | 30年 | 約17.3万円/月 | 約12.3万円/月 |
※年利はブレるし、税金や暴落もあります。あくまで「距離感」を掴む用として載せてます。
(参考だとしても積み立て額が凄いですよね笑)
まとめ:FAT FIREは“資産額”より「設計」が9割
FAT FIREは、夢は大きいですが、やること自体はかなり地道で大変です。
年間支出を洗い出し、取り崩し率を慎重に設定し、インフレや暴落リスクまで織り込んで考える必要があります。
正直なところ、誰もが簡単に到達できる世界ではありません。
私自身も、数字を並べれば並べるほど「これは相当ハードだな」と感じています(笑)
それでもFAT FIREという考え方が魅力的なのは、
「お金の不安から解放された先の人生を、どう生きたいか」
を真剣に考えさせてくれるからです。
必ずしもFAT FIREを達成する必要はありません。
途中でサイドFIREやセミリタイアに舵を切るのも、立派な選択肢です。
大切なのは、自分にとっての「ちょうどいい自由」を定義し、
そのための現実的な設計をしていくことだと思っています。
この記事が、あなた自身のFIREプランを考えるきっかけになれば幸いです。
サイドFIREを目指している私のプロフィールはこちら。⇩